ネルフの科学力に関する最終報告

Last Updated:Sunday, 04-May-97 23:47 JST


  1. エヴァの装備品を分析する「ポジトロン・ライフル」
  2. エヴァの装備品を分析する「プログレッシブ・ナイフ」
  3. エヴァの装備品を分析する「パレット・ガン」
  4. ジオフロントの秘密(New)
  5. MAGIの性能を分析する(New)
  6. テクノロジーの秘密(New)
  7. 使徒のエネルギーとは(New)

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エヴァの装備品を分析する「ポジトロン・ライフル」

まずエヴァの兵装について。ポジトロン・ライフル(エヴァ専用改造陽電子砲ネルフ仕様−ポジトロン・スナイパー・ライフル)である。
実は、エヴァ専用陽電子砲円環加速式試作20型では性能不足であり、急きょ自衛隊技術研究所から徴発した自走陽電子砲を改造したという設定から基本的に荷電粒子砲である。
荷電粒子砲とは、アメリカのSDI計画、通称スターウォーズ計画で脚光を浴びた、平たく言えば
電子・陽子など、電荷を帯びた粒子に磁気をかけて加速する粒子加速器を兵器に応用したものである。
電荷を帯びた粒子を磁力を用いて光速近くまで加速し、強力な運動エネルギーを粒子に与えて目標に発射し、
相手を破壊するというものだ。粒子加速器では、粒子を加速する距離を稼ぐためにサイクロトロンなど加速器には円環型にコイルを並べ、粒子を円軌道中で運動させる方式が多く使われている。
例えば、筑波研究学園都市の「トリスタン」、ヨーロッパの「CERN」など、現在ある大型加速器の多くはすべてこの方式だ。
このライフルにもグリップの直前に、Japan Strategic Self Diffence Forceの略だろうか、
「JSSDF」のロゴが書いてある円形の部分が加速器になっていて、銃身に見える直線状の部分が、
目標まで陽電子を直線に加速する直線型加速器であると考えられる。
また、この形式の兵器は自由電子レーザーというさらに強力な兵器を生む。励起状態(エネルギーを与えられた状態)の分子が放出した光のうち、
投射方向に出た光しか利用できないという弱点があるレーザーを、光りの代わりに一定になる電子ビームを利用することによって効率を上げようというものである。このポジトロンライフルにもその原理が応用されていると考えるべきである。
さらに、+(プラス)の電荷を持つ陽電子が、敵である「使徒」の構成分子から−(マイナス)の電荷を持つ電子を奪って破壊する効果、さらに電子の反物質である陽電子による対消滅のエネルギー破壊と対使徒専用兵器である「ロンギヌスの槍」を除けば、まさに究極の対物兵器といってよい。
この兵器を実現するためには、当然発射前に対消滅を起こさないように完全な真空中に陽電子を何らかの形でキープしておかなければならず、電磁力か重力かによるチャンバーが必要になる。
さらに光速近くまで粒子を加速し、第5使徒のATフィールドを貫通してコアを破壊するに足りる威力を稼ぐためには、膨大な電力が必要になることは容易に想像できることである。第6話の「ヤシマ作戦」ではそのための電力を供給するために、日本中の電気が消えていくという魅力的な「絵」が描かれていた。また、耐久性に問題があるとされるこの兵器で、2発目を射つ瞬間のカタルシスも忘れがたい。

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エヴァの装備品を分析する「プログレッシブ・ナイフ」


通常兵器で言えば、プログレッシブ・ナイフが一番活躍した兵器であろう。
設定によればナイフの構成分子を超高速で振動させることによって目標物体の構成分子の結合を共振により弱める。
また分子の振動により高熱を発生させ、敵の表皮や内部を焼き切る効果を持つ。初号機のナイフはコンバットナイフをモデルにデザインされ、改良型の弐号機のナイフがカッターナイフ型という違いも面白い。

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エヴァの装備品を分析する「パレット・ガン」


実体弾を発射するパレット・ガンであるがそのネーミングは、薄い板のような形状から連想されたものに違いない。
絵画を描く際に使われるパレットから付けられたものと考えるが、高初速、高サイクルで発射する実体弾はコアに対する決定的な打撃にこそならないものの、
使徒にとって強烈なジャブを立て続けに食らうようなものだ。使徒の進行を止めるには十分な効果を持つ、かなりのパンチ力のある武器と言えるだろう。
その設計も弾倉が機関部の後にある先進的なブルパップ式の銃で、反動が少なく命中率が高い。
現用兵器では、オーストリアのステアー社の発売したステアーAUGライフル等が採用しており、
プラスチックを多用して軽量化を図った先進的設計思想と未来的なデザインで話題を集めたもので、
いかにもシンジたち素人の取り回しのよさそうな銃である。
そのわりには、薬莢(やっきょう)を使用するタイプの弾薬が使用されており、薬莢の重さで携行弾数に制限を受けると考えられる。
しかし、これは薬莢を吐き出すという”絵”がほしかったためだろうか。また、携行弾数は第3新東京市で戦う限りは兵装ビルの補給を受けることでカバーできると思われる。

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ジオフロントの秘密(New)


まず、エヴァサポートするネルフの科学力・組織力について考えてみたい。
ジオフロントのような巨大な空間に対使徒の縦深陣地としての要塞都市 ・第三新東京市を建設しており、 しかもその都市が地上の状態に比べて、はるかに居住性の高い都市であることは描写から散見できる。
また使徒迎撃のために自衛隊の最新兵器や地上の電力、はたまたスペースシャトルの残骸まで徴発できる 巨大な組織力は何に由来するものなのか。疑問がわくが、その前にネルフの技術用語について解説しよう。
ジオフロントとは本来1980年代に発表された大深度開発構想の名称であり、ジオ=大地の、フロント=(使徒に対する)最前線という意味で使われたものと考えられる。
余談だがTV版「機動警察パトレイバー」でメカデザイナーの出渕裕氏が脚本デビューした回が、この大深度開発構想の工事現場を舞台にした怪物ものであったことをご記憶の方も多いだろう。
また、第17話で登場した全翼式エヴァ輸送機であるが、これは1947年のアメリカのノースロップ社の 試作爆撃機YB49がモデルではないかと思われる。
この機は、映画「宇宙戦争」で、火星人の飛行機械を核攻撃する爆撃機として登場している。
本来、主翼だけで安定するなら飛行機にとって尾翼の類は抵抗にしかならないため、
全翼機こそ理想の飛行機である、という思想は第2次世界大戦中のドイツのホルテン兄弟、リピッシュ博士の時から存在している。
なかでも、ノースロップ社の執念は最近のステルス爆撃機B−2をそれで実現させているのである。
ただし金喰い虫扱いで、あっという間に予算を切られて生産中止に追い込まれているが・・・・。
おそらく、あるべき胴体のない、人間とのアナロジーの成立しないイメージが庵野監督の創作意欲を 刺激したのだろうか?
また第8話で登場した「特殊ベークライト」だが、本来ベークライトというのはアメリカのベークランドにより発明された最初のプラスチックのことであり、
ベークライトそのものはハイテクの産物ではない。これもまたおそらくは耳慣れない語感からとられたものだろうと推測される。

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MAGIの性能を分析する(New)


ネルフ最大の技術といえばある意味でコンピューターシステム「MAGI(マギ)」であろう。
赤木リツコの母親である赤木ナオコの人格を移植したスーパーコンピューターであり、
おそらくこのシステムは現在開発中のニュートラルネットワークシステム(人間の神経系を模した、学習・判断が可能なシステム)をはるかに超えたシステムであると考えられる。
考えられるのは、単なるシステムの問題ではなくて、もはや回路や素子そのものが人間の脳の模造になっているのではないかという点だ。
第13話でリツコたちが調べていた回路を見れば、人間の頭脳をモデルにデザインされていることは容易に想像がつく。
しかも、それだけの容量を持ちながら、彼女たちはほぼいつもと変わらない服装で回路を扱っているのである。
通常の素子を使うコンピュータである限り、それだけの処理能力を持つコンピュータであればかなりの熱量が発生するはずであり、 それをあれだけの軽装で果たして扱えるのだろうか?
おそらく量子デバイスや、分子デバイス(分子そのものを回路として設計した回路)のような、現在のコンピュータの水準からみると夢のような超高度な技術が使われているに違いない。

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テクノロジーの秘密(New)


ここで、ネルフの科学力を解く鍵はテクノロジーにあるのではないかと考えられる。
国連、ゼーレ、人類補完委員会をバックにしているとはいえ、日本をはじめとする各国政府に対して
あれほどの優位を確保しているばかりか、第7話に出てきたように、使徒と闘う唯一の組織であるという地位を確保するためには、
自分たちの領域を侵そうとするものを排除するためにはありとあらゆる手段を行使することを辞さない。
二足歩行をする純粋なロボットとしては、Jet Aloneはかなりの水準である。
現在のロボット工学では、人間が行っているような重心の移動をともない、バランスを崩しつつ移動する
動的歩行は困難だが、Jet Aloneはそれを容易に行っているばかりか走ることもできる。
また、Jet Aloneの動力が原子力であり、第17話でのネルフ第2支部のように、
使徒のS2機関などのテクノロジーの情報は、ネルフが独占していると考えられる。
これは、ネルフの技術がアダムを独占していることにより、使徒を研究して得られた技術を
独占していることを示しているのではないだろうか。 組織は本来の目的から、 その維持が目的になる自己目的化を遂げるものだが、ネルフはその目的のためのテクノロジーを入手するために闘っていたのだはないだろうか。

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使徒のエネルギーとは(New)


使徒の形状を思い出してほしい。
一見生物のような形をしているものも多いが、その口はほとんど単なる武器として使われている(例・第8話)。
補食の機能をもつのでなく、初号機が使徒を食べたのは、その体を、つまりは使徒の「情報」を取り込むためであり、
生命維持が目的ではない。また、第5使徒のように、体に加粒子砲をもつ生命すら存在する。
いってみれば、使徒のエネルギーは量子論でいう真空のエネルギーであり、
使徒の体とはK・E・ドレクスラーが「創造する機械」で主張したような、ナノテクノロジー、分子アセンブラ(マイクロマシンの発展型で、目的に沿ったありとあらゆる分子を作成する技術のこと。つまりは全能の創造の技術である)の宝庫だと考えられる。
そして、「使徒」アダムをセントラル・ドグマ内にもつネルフこそが、世界の中でその技術を独占する唯一の存在なのではないだろうか。
おそらくは、セカンド・インパクト後の世界において、人類の補完、世界の復興を名目にしてゼーレをバックにしたネルフは
その全身の「人工進化研究所」を隠れ蓑にして死海文書にしたがい、周到に準備をすすめ、「使徒」の技術を集約させることに成功したのではないだろうか。
そのうえ「使徒」のもつナノテクノロジーは、神智学に従い「神」に近づこうとするゼーレにとって、うってつけの技術だったに違いない。ただそのゼーレにとっても、彼らの考える「補完」と碇ゲンドウ指令の考える「補完」が食い違ってこようとは、考えもしなかったろう。

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今後も充実した内容のページにしていくつもりでありますので、皆様の情報をお待ちしています。

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